八坂神社の門前に広がる京都の代表的な繁華街、祇園に店を構える「天ぷら京星」は、ミシュランガイドに14年連続掲載されている京都で唯一の天ぷら店です。1947年京都で創業し、三代目である当代の榊原俊徳氏が1991年に高級店や名店も多い祇園の地に移転してからも、変わらない薄衣の天ぷらでお客様を魅了しています。
「京星」では極限にまで衣を薄くした天ぷらをお任せコースで提供しているのが特徴です。薄衣にこだわるのは新鮮な素材の味を最大限にまで引き立たせるため。そのこだわりは「京星」では天つゆを使用しないことにもつながっています。一般的に天ぷらは、天つゆにつけていただくのが定番の食べ方ですが、店主いわく「衣が厚い天ぷらには天つゆも適しますが、素材の味を活かした京星の天ぷらを食してもらうには、独自配合の塩とレモン汁が合うと思います」とのこと。また、それらをなじませた大根おろしも用意されていて、こだわり抜かれた唯一無二の天ぷらを最高点にまで引き上げます。
もちろん油にもこだわります。一子相伝のベールに包まれた独自配合の油を用いており、天ぷらのみで勝負するコースであっても胃がもたれることはありません。数十年使用している天ぷら鍋も劣化を感じない程に綺麗で、料理はもちろん、道具にも丁寧な仕事をされていることがわかります。そうでなければ14年もの間、入れ替わりも激しい「ミシュランの星付き」という称号を獲得できないのでしょう。
天ぷらの「種」と呼ばれる食材は、中央市場や錦市場、大原の朝市などで店主自ら仕入れた季節の魚介と野菜で構成されています。肉を揚げないことも店主のこだわりで、魚介と野菜を交互に揚げ、合間に海老を織り交ぜて提供してくれます。天ぷらの中でも高度な感覚を有するという海老は、一尾目と二尾目の火入れを調整して提供され、18品(天茶、デザート別)前後のコースの中で変化を生みだしています。職人技で火入れを調整し、素材の味わいを変化させる。また、その変化をコース料理全体の時間の中で感じさせるのが「京星」の天ぷらなのです。
独創的な天ぷらも必見
「京星」の天ぷらは見た目にも職人技と店主のセンスの良さを魅せてくれます。
二代目の父が病で倒れ、急遽「京星」を受け継ぐまでの修業時代、西宮市にかつてあった「料亭 播半」での経験が、他にはない天ぷらを創作する原点になっているのかもしれません。
ニンジンを「たずな抜き」を用いてらせん状にして揚げたものや、鮎を三つ編み状にしたもの、三度豆を串にさし放射状にして揚げたものなど、見た目にも「よそにはない天ぷらを」という店主の心が現れています。
英語での接客も話題に
三代目店主の榊原 俊徳さんは海外からのお客様に英語で接客されています。海外からの観光客が多い京都で人気店ともなれば必然的に外国人客は増え、「必要になってきた時に食材の名前を覚えるところから始まりました」と言い、今では多くの外国人客をもてなしています。コース料理ですので、お飲み物の注文以外は店主に全てお任せしていれば大丈夫なので安心です。
日本酒かワインで
京星の天ぷらは、どんなお酒にも合いますが、しいて言えば日本酒かワインがお薦めだと店主の榊原さんは言います。中でも早瀬浦(福井県)や季節限定の緑川(新潟県)が特にお気に入りだとか。「京星」では、日本と海外からのお客様で趣向の差はないようで、「ジャパニーズSake」は海外からのお客様にも好まれているようです。日本酒の次に好まれるのが揚げ物と合うとされる白ワインで、「京星」ではボトルも用意されています。
そして、一般的なお店ではお目見えすることが少ない厳選された手摘み茶葉でつくられる超高級茶「Royal Blue Tea」も取り揃えており、こちらも海外からのお客様に好評です。
1日3組限定のおもてなし
カウンター9席の店内では、更にお客様がゆっくりと過ごして頂ける様に、隣の組との間を1席あける気の配りようです。1日3組限定としているのも、店主が最高の料理とおもてなしを出来る人数を考えているからです。
店内で目を惹く白木板のカウンターに座ると、目の前で天ぷらが揚がり、贅沢な時間が過ごせるでしょう。
筆者からの小言
ここで、注意すべきはカウンターを傷つけないことです。高級店に慣れている方は、カウンターを傷つける恐れのある腕時計をそっと外します。京星では「腕時計を外してください」と言うことはありませんが、特に一流のお店ではお客側にも相応のマナーが必要です。「大声で話さない」「動画を撮影しない」ことは当然のマナーですが、食通や高級店に慣れているかどうかは、その「所作」でわかると言いわれています。高級店では、器などの食器はもちろん、テーブルや椅子など内装にもこだわっており、それだけに替えや修復の効かないものが多いですよね。
それらが維持されてこそ、最高のお料理と接客が受けられ、あなたの次にこられるお客様にも繋がっていきます。そして再びあなたが来店した時にも素敵な空間で贅沢な時間が過ごせるのです。
だからこそ、大切にされているお店のものを傷つけない配慮も必要なのです。
店主の言葉から
多くのレストラン紹介サイトや口コミサイトでも料理と接客が国内外のお客様から高評価となっている理由について伺うと、「当たり前のことを、当たり前にしているだけですよ」と笑顔で答える店主の短く無駄のない言葉から、「京星」が店名に同じくミシュランの星を維持するに至っている神髄のようなものを感じました。
三代にわたり天ぷら一筋、決して規模を大きくすることを望まず、維持する事の大切さと大変さを知る「京星」三代目店主榊原俊徳さんは、これからも国内外のお客様を天ぷらを通してもてなしながら「京星」の暖簾を昇華させ続けます。
メニュー
■料理
コース(1種類のみ)/季節の魚介や野菜 およそ18種、天茶、デザート
■ドリンク
生ビール、日本酒(4銘柄)、焼酎(麦3銘柄/芋5銘柄)ワイン(赤/白・グラス・ボトル)、シャンパン(フル・ハーフボトル)、ハイボール、ロイヤルブルーティー、ノンアルコールビール、ペリエ、ジンジャーエール、コーラ
【目安予算】
\15,000~\20,000
【決済方法】
カード可:VISA/MasterCard/JCB/アメリカン・エキスプレス/ダイナースクラブ
【来店方法】予約のみ
予約は電話か予約サイトからできますが、海外からのお客様は3つの予約サイトからのみの受付です。
■TABLE ALL(テーブルオール)
■JPNEAZY(ジャパニージー)
■MY CONCIERGE(マイコンシェルジュ)
予約サイトからの訪問であれば、コース代は事前決済なので当日のお支払いはお飲み物代だけですみます。
【キャンセルポリシー】
如何なる理由につきましても御予約確定した時点でお席を確保致しますので、
前日 50%
当日 100%
のキャンセル料を頂戴致しますことを予めご了承ください。
【営業時間】
定休日 日曜日/年末年始
営業時間 18:00~22:00(最終入店20:00)
電話 075-551-2303