国産牛とは文字通り日本産の牛のことで、具体的には日本で3か月以上飼育された牛、もしくは各国を巡っていても日本での飼育が最も長い牛のことを指します。
和牛は国産牛とは全く異なる審査基準があります。具体的には、明治時代(1868-1912)以前からある日本独自の基準で飼育・交配された牛を指し、「和牛」と表示できる牛肉は、一定の要件を満たし、家畜改良増殖法に基づく登録制度等により証明できる牛肉に限ります。
またブランド牛ごとの審査もあり、厳しい審査基準を満たした牛肉が「和牛」という名称を名乗ることができます。ブランド牛は、日本全国に約300種類ありますが、中でも三大和牛と呼ばれる特に人気な和牛について紹介します。
◎三大和牛
三大和牛と呼ばれているブランド牛は、神戸牛、松阪牛、近江牛もしくは米沢牛です。(「三大」と言われていますが、地方によって認識が異なる為、時には四大和牛とも呼ばれることもあります。)
同じ和牛でも、味や脂の乗り方、肉の柔らかさ等が異なる為、食べ比べてみると面白いです。好みの牛肉を見つけて、産地で食べてみてはいかがでしょうか?産地の方が新鮮なものを手頃な価格で食べられるかもしれません。
① 海外でも高い評価を得ている「神戸牛」
「神戸牛」という名前を知っているという人も多いのではないでしょうか?高級ブランドである但馬牛の中から最も厳しいとされている基準をクリアした上質なものが「神戸牛」として出荷することを許可されます。
2009年にはキャビア、フォアグラ、白トリュフらと共に、世界で最も高価な9種類の食べ物に選出されました。
アメリカのオバマ前大統領が来日する際に「食べたい」とリクエストしたことでも知られています。肉質がやわらかく、ふんわりとした食感が味わえます。
おすすめの食べ方は「すき焼き」です。
「すき焼き」とは、牛肉や野菜を鉄鍋に入れて、砂糖や醤油、酒で味付けした割り下と呼ばれる調味料で煮て食べる鍋料理です。
一般的には溶いた生卵を絡ませて食べます。これは「神戸牛」の肉の甘味とやわらかさをもっとも堪能できる食べ方ともいわれています。
一方、ステーキでは厳選した塩とコショウだけで肉の本来の味を楽しんでください。また、ごく薄く切った肉をだし汁に数回くぐらせて食べるあっさりした鍋料理「しゃぶしゃぶ」でも美味しく頂けます。
② 最高品質と言われる「松阪牛」
伊勢神宮があることで知られる三重県で育てられた牛です。
きめ細かい霜降りと柔らかな肉質、甘みのある香りが特徴で、「ステーキで食べるなら松阪牛」とも言われています。ひと口で口の中に広がる脂肪の旨み、牛肉本来の味を存分に堪能できます。
ステーキであれば塩だけで肉本来の風味や味を楽しむのが鉄則です。すき焼きの場合は、後味がスッキリとしているので食べやすく、野菜との相性も抜群です。また、「シチュー(肉や野菜をソースで煮込む料理)」の具材として、脂身の甘さが絶妙でとろける味わいを楽しむこともおすすめです。
③ 数ある和牛の中で最も歴史のある「近江牛」
日本一の面積を誇る湖「琵琶湖」のある滋賀県で育てられ、約400年の歴史があるブランド和牛です。
日本では、明治時代以降に牛を食肉とするようになったと言われていますが、近江牛は、16世紀に大阪城を築いた豊臣秀吉が「仲間に近江牛を振る舞った」という史実が残っています。近江牛は、肉質がきめ細かく、脂肪の甘みが立っています。
やわらかいお肉なので、しゃぶしゃぶやすき焼きなど溶けるような食感を楽しむ鍋料理との相性が良いです。柔らかい食感で甘みがあり、風味が豊かなので、ステーキとして食べる場合には、必ずレアにこだわってください。
定番の塩こしょうはもちろん、醤油ベースのソースや大根おろしとポン酢のソースも相性抜群です。
地元民は近江牛をたっぷりと食べ尽くせる「しゃぶしゃぶ」や「すき焼き」を好む方が多いようです。
④ イギリス人があまりの美味しさに驚いた「米沢牛」
日本の東北地方に位置する山形県で育てられた牛を指します。
米沢牛が、世に知られるようになったのは明治時代(1868-1912)です。来日していたイギリス人の英語教師があまりのおいしさに驚き、その後友人たちに振る舞ったところ評判を呼び、全国に知れ渡ったと言われています。
肉の赤身は脂身が浸透して旨みのある肉質となっています。臭みが少なく、きめ細かい霜降りで、口のなかでとろけるような質感をもっています。
おすすめの食べ方は「ステーキ」で、塩で食するのはもちろん、醤油、すりおろしたワサビ、柚子胡椒など、様々な薬味を一緒に使うことで、さまざまな味覚で楽しめます。肉の柔らかさを堪能できる「しゃぶしゃぶ」や「すき焼き」にも適しています。
まとめ
今回紹介したもの以外にも、日本各地にブランド牛があります。日本旅行の予定がある方は旅行予定地に「ブランド牛」がないか調べてみてください。
部位や食べ方によっても様々な楽しみ方があるので、好みの和牛・食べ方を見つけてみてください。
※このページの情報は2020年1月の情報です。